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「敷金・礼金」。この言葉を私たち日本人は聞き慣れており、住宅を借りる際には当たり前のように検討材料として考えています。しかしこの敷金・礼金、海外でも同じように考えられているのでしょうか。

実はそうではありません。

敷金そのものは海外の多くの国でも存在しており、借主には故意や過失にともなう破損や汚損などに対しては賠償責任があり、それを敷金で精算するという考え方も日本と諸外国とで大差はありません。日本と海外で異なるのは、「原状回復」の範囲や程度です。日本で「原状」というと「新品に近い状態」のことを指します。退室する際に「きれいにする」というよりは「新品の状態に戻す」という表現の方が適当かもしれません。

例えば畳を例として考えます。

入居時には青色だった畳は時が経つうちに徐々に自然劣化で黄色くなっていきます。これは前述の借主による故意や過失にともなう破損や汚損には当たりませんが、日本ではこの畳の張替も敷金で支払われる対象となるのです。

またもう一方の礼金に関していえば海外には制度化されたものは存在せず、極めて日本的な慣習のひとつと言えます。「なぜ借りてあげる立場なのにプレゼントマネーを払わなければいけないのか」と理解することが難しく、在日外国人にとってのダントツの不満となっています。

礼金という言葉の理解不足によるトラブルを防ぐため、「礼金とは何か」を事前に十分に説明する必要があります。

日本では常識と考えられていることも諸外国ではそうではないこともしばしば。みなさんも一度外国人の立場になって敷金・礼金について考えてみてはいかがでしょうか。

 

参考資料

荻野政男 著 『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践』 (週刊住宅新聞社 2015)

 

 

 

 

​DEPOSIT AND KEY MONEY

 

| 敷金・礼金 |​

 
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