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多くの国では、退去の際に清掃をすることがほとんどですが、原状回復の範囲や程度については大きな差があるようです。

 たとえばフランス、ドイツ、アメリカでは、住居の現状を記すリストが配布され、退去時はそれに沿ってチェックをします。その一方で、中国では原状回復の概念はありません。部屋が破損された場合は、家主の泣き寝入りとなってしまうそうです。

 日本では、新品に近い状態に戻すことを求められます。これに違和感を覚える外国人は多いようです。たとえば、畳などは時間の経過と共に黄色く変色してしまいます。入居者の責任ではないのに、畳の張り替え代を敷金から差し引かれてしまい、家主とのトラブルになったという話もあったそうです。

 平成23年に改訂された国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』よると、原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。つまり、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化しました。

 国によって異なる原状回復。自国の常識にとらわれず、異なった考え方を知ることも必要ではないでしょうか。

参考資料

国土交通省『「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について』http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

 

荻野 政男(2015)『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践』週刊住宅新聞社

 

 

​RESTORATION

 

| 原状回復 |​

 
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